ビリー:ワイルダー監督・『失われた週末』
2014/05/19 (Mon)
『失われた週末』の話の前に、筆者(fanta)の最近の映画鑑賞状況をザッと申し上げておきましょう。
昔から映画好きのfantaですが、とにかく最近は映画を見てない。”近年、見たい作品がめっきり少なくなった”という論調で述べてもいいんですが、単純に”映画鑑賞に費やす時間が無い”と言った方が早いです。
昔は劇場(ロードショー館でも名画座でも)で見なければ、映画を見たことにしてませんでした。ところが今や、DVDレンタルやTV放送でも映画作品を見たことにしてますよ、当然。それでも見てない。何故か?理由はハッキリしている。録画に忙しくて見ていないという矛盾。
映画作品そのものは、ブルーレイ録画、HDD録画でせっせと録画して保存してるんです。録画がたまって見る時間が無いから、DVDレンタルで金出して見るような事は今やしなくなった。レンタル店には全く行かなくなりましたね。
映画館で映画を見たのは、『ゼロ・グラビティ』が最後。今年の1月かそこらでしょう。これも連れと行ったからです。DVDレンタルは『中●生円山』が最後。これ「メンズウォッチング」の記事を書くため、まあ下ネタ理由ですね。
そんな状況の中、録画しっぱなしで見てない作品が何本あるか?軽く150本以上あると思います。
全作品、”見たい”、”保存する価値あり”と思って録画してあるんだから、どれを見たっていいんですが、その中で、名匠ビリー・ワイルダー監督で見てなかった『失われた週末』が挙がってきました。
また『失われた週末』の公開年が1945年というのも見ようとした動機の一つ。fantaは数多くの映画作品を見てますが、チャップリンと『風と共に去りぬ』を除き、そんな古い作品、ほとんど見て無いんじゃないでしょうか。
さて、『失われた週末』です。監督はコメディ作風を得意とするビリー・ワイルダー。劇作家の三谷幸喜がワイルダーを信奉してますね。fantaも後期の作品はほとんど見ていて、好きな監督です。
『失われた週末』の音楽は後に『ベン・ハー』などを手掛けるミクロス・ローザってところも見どころ(聞きどころ)です。
まず驚いたのは、1945年当時のニューヨークのモダンさですよ。つまり摩天楼などはまだ新しめな訳ですから、古い都市どころか、近未来の都市みたいに見える。
この年は太平洋戦争終戦の年ですよ。日本は焼け野原の中、アメリカのこの豊かさは何ですか?という感じです。
逆に黒人の描き方は当時のアメリカの実情が出ていましたね、まるでサーヴァント(召使い)。
話はアルコール中毒の男の話で、全編その話で終始するんですが、いやぁ引き込まれました。
作品自体は言われているように名作です。映画手法としては今でも十分通用する。全く古めかしさはありません。と言うか、この頃すでに基本的な映画手法は確立されていて、逆に今がネタ切れになっていると言えるでしょう。
『失われた週末』の作風は、後の全盛期のヒッチコックのサスペンスのりと言えば分かりやすいでしょう。
この当時(1945年)にはすでにヒッチコックは活躍していました。当時、どう評されていたのかは不明ですが、ヒッチコックと『失われた週末』は当然比べられていたと思います。ヒッチコックが先だったのか、ワイルダーが先駆けだったのか。