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カテゴリ:映画 の記事リスト(エントリー順)

「スタートレック BEYOND」のゲイ表現

kage

2017/08/07 (Mon)

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『「スタートレック BEYOND」のゲイ表現』

 「映画のことは映画のブログに書けよ」と自分でも思いますし、最近、筆者(fanta)は映画のブログも持ってます。が、今回のテーマについては、”ゲイ”ですので、こちらに書くことにしました。

 映画『スタートレック BEYOND』をwowowで見ました。作品はまあ歴史あるSFファンタジーの秀作ですね。そこで、「え?!」と驚いたのは、エンタープライズ号のメインキャストであるアジア人操縦士、ヒカル・スルーがゲイであることの表現がチラッとあることです。

 これは韓国系俳優ジョン・チョウ演じるスルーが家族らしき人たちと再会するシーンで、スルーが女の子を抱き上げ、スルーの肩を抱く大人の人物が男性であるというだけのサラッとしたシーンです。

 ああ、これは初代ヒカル・スルーを演じたジョージ・タケイがゲイであることをカミングアウトし、同性結婚をし、LGBT活動をしてることが裏付けになっているのだろう。そしてそれを2代目スルーにかぶした見事なメタフィクション(現実を虚構の中に組み入れる物語手法)をやったな、思った訳です。

 何気ないシーンだから気が付かない人も多いだろうから、微力ながら当ブログで話題にしよう。まあ書く前に、一応ネット上で話題に挙がってるかどうか調べようと思って調べたら、なんだ、公開前から堂々と話題になってましたわ。

 それらについては、別のサイトをお読みになる方がよろしいでしょう。
・G-MEN、元編集長が書いた記事はこれ。
http://rainbowjapan2020.com/startreckbeyond
・Yahoo!ニュースはこれ。
https://news.yahoo.co.jp/byline/saruwatariyuki/20160709-00059783/

 見事だと思ったのは、ゲイ表現を強調してないことですよ。
 それと脚本の俳優(今作でスコット役で出ている)でもあるサイモン・ペッグが、初代スルー役のジョージ・タケイ氏をリスペクトしていることですね。

 ジョージ・タケイ氏がスルーのゲイ設定に反対したことも理解できるし、サイモン・ペッグがスルーのゲイ表現に固執したことも良く分かります。

 まあ、上記のゲイ表現にしてもそうですが、この作品が製作される同時期に、初代ミスター・スポック役のレナード・ニモイ氏が亡くなった事も影響している。それを今作品では先代のスポックが亡くなったことにかぶせている。

 さらにはネタバレになるので詳しく言わないが、先代のスポック(つまりニモイ氏)が活躍したイメージを表現し、見る者を泣かせた。
 これは現実とかぶさった見事なメタフィクションです。

 映画としては単なる娯楽アクションの秀作だが、スルーの件、スポックの件、そして映画完成後に自動車事故亡くなったチェコフ役のアントン・イェルチン氏も含めて、映画史上特別な意味を持つ作品になったと思います。

 『スタートレック BEYOND』は、故レナード・ニモイ氏とアントンに捧げられている。

映画 『怒り』

kage

2016/10/21 (Fri)

●多分、上映中の映画に関して、この『ファンタサイケダイアリー』に書くのは初めてだと思います。
映画『怒り』を映画館で見て、ここに何かを書くつもりはなかったのですが、
2ちゃん映画板のスレの文面で、筆者(fanta)の思いと共通し、
「これは何かで残しておきたいな」と筆者(fanta)自身が思いましたので、
こちらにいただいてくることにしました。

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取り上げた当該文面は、2ちゃん映画板のスレに書いてあったもので、
直接2ちゃんのスレに書かれたのか、どこかから持ってきたのか不明です。
前後の書き込みから、「ツイッターから」とも推測されます。
いずれにせよ、誰が書いたかは分かりませんが、映画『怒り』に関する、まあ、感想文ですね。

そして、書き手不明の感想文だけで、このコーナーを済ますのか?というのも筆者(fanta)自身が不満ですので、
筆者(fanta)自身が、すでにyahoo映評に書いた文も不本意ながら載せておきます。

まず、
****** 下記、書き手不明の2ちゃん映画板スレより(fantaの文ではありませんよ)。

62 : 名無シネマ@上映中2016/10/11(火) 13:15:19.54 ID:9gSBfnGf
僕はかねてより、ゲイが世間に認知される(許容される、とイコールではありません)為には、「物語」が必要だと考えていました。
セクシャルマイノリティに対してあまり興味や知識を持たないヘテロセクシャルにとって、僕らの存在は認知出来るけれども、
どんな気持ちで家族を思い、どんな気持ちで恋人を愛しているのか、それを知るための物語が不足していました。
もちろんそれらを題材とした作品は幾つも存在しますが、興行的に規模が小さ過ぎました。
ゲイを息子に持つ親がこの「怒り」を見た時、自分の息子がどのような心の揺らぎを抱えて生きているのか、その片鱗だけでも感じて貰えるなら、
息子を腫れ物のように触る気持ちがほんの少しでも穏やかになるかも知れない。
そして(出会いのきっかけがハッテン場であれ)真剣に恋人を思う気持ちを育み、慈しみ合い、
二人の将来について語り合ったりする姿を想像して貰えるのではないのかと思います。
人間は物語に触れる事で想像力を磨き、目の前の現象と自分との距離を計れるようになります。
その積み重ねが、僕らセクシャルマイノリティを身近に感じ、僕らが歩いている「道=物語」を理解して貰えるきっかけになるのではないのでしょうか。
「怒り」で描かれるゲイカップルは、まるでシンデレラと王子様のような出会いをし、深く深く心の奥に有る愛の存在に気付き、そして深く深く大きな傷を残します。
これは幸せな結末ではないのかも知れませんが、身を割く程真剣に誰かを愛したと言う、宝石のようにかけがえの無い思い出を残します。
普段テレビで見かける毒々しくてまるでキワモノのようなビジュアルの、日常からほど遠い存在だと思われがちなゲイではなく、
繊細で真剣な人生を生きているゲイの「物語」が、これだけ豪華なキャストとクリエーターによって造られた事は、とても画期的な事ではないのでしょうか。

****** 書き手不明の2ちゃんの文面はここまで。

そして、筆者(fanta)自身のyahooの評。読み手からは、「役立ち度ゼロ」になってるのは不満です。
こっちに持ってくるつもりも正直ないけど、上記に申しましたように、
「他人様の感想を持ってくるなら、自分の感想も書いておくべき」と自分(fanta)が思うからですね。

****** 下記、yahoo映評のfantaの文。

総合評価 ★★★★★

まあ、★5つ付けざるをおえないが、各パート全部、登場人物泣き過ぎよ。
まあ、こっちもところどころ泣いたけど、画面上で先に泣かれると、”釣られてたまるか”と思うよね。

実際、演出上の手法として、ご丁寧に全部描かず、”観客に想像させて”、深みを持たせるってあるんじゃないの?
まあ、そこらへん、不満でしたね。

あと、テーマは、「怒り」じゃなくて、「信頼」でしょ?
「信頼」というタイトルにせよとは言わないが、根本的なところでテーマの理解を混乱させるような、「ブラフ」はやめて欲しい。

長年のゲイのパートナーと2人で見に行きましたが、見た後、気まずかったね。
ゲイ描写は正確だったからね。この原作者のゲイ描写には不安は無かったが(「パレード」を除く)、ここまで辛辣にやられると、自分たちの問題として降りかかる。
「2人の全裸は、足が太いのが目立って綺麗じゃないな」という感想だけに留まった。

あと、作品全体として、細々と不満点はあるけど、細かい不満点が出るほど、”映画の出来は良い”ということにしておこう。

****** ここまで。

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映画 『怒り』は、いい映画でしたよ。
まあ、斜に構えた、筆者(fanta)の感想は上記ですよ。

そして、2ちゃんに書かれた、「書き手不明の文面」は、ゲイパートに関するゲイの想いであって(これは同感)、
映画 『怒り』の映評ではないですね。

ああ、そうそう、、綾野剛と妻夫木聡の絡みシーンが数シーン、全身全裸ショットがあります。
まあね、筆者管理の『男の裸が見られる映画 メンズウォッチング』で、DVD発売時(10か月後か?)に取り上げるかもしれません

が、まーあ、裸度数★ひとつじゃないですかね? エロスを描いてないのは確かで、「物語の必然」として描いてますから。
露出度が高くても絡みのキスも、演技、演出を感じ取ってしまうから、エロにはとてもじゃないけど、そう見えないし、
そして、そもそもそういう映画じゃないでしょ。

パレードへようこそ

kage

2016/04/14 (Thu)

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 『パレードへようこそ』

 久々にいい映画を観ました。”何を今更”という声が聞こえそうですが、wowowで録画してたのをほっぽといて、昨日、やっと見て、「これはいいわ」と思った次第。イギリス映画です。

 内容は、イギリス、ロンドンの同性愛者グループとウエールズ地方の炭鉱労働者団体の連帯の話。実話をコメディタッチで描いた。

 ゲイが主人公なんで、昨日まで内容をよく知らなかったというのは、筆者(fanta)がゲイ雑誌のライター時代だったら、ライター失格ですね。今はゲイ雑誌関係ないから、まあよろしい訳ですが・・。

 で、見終わって、評判はと思って、ネットを見たら、まあ、絶賛の嵐。散々褒められまくられてますから、内容に関しては、yahoo!映評などをご覧いただいたほうがよろしいでしょう。筆者(fanta)は細々言いません。

パレードへようこそ


ただまあ、あえて言うと、時代が、1984年というサッチャー政権、労働者弾圧、エイズが台頭し始めた時期という背景が重要で、そこに同性愛者問題を入れ込んで、リアルなところはズサリと刺さるくらいリアル。リアルじゃないと思えるところもあるが、それはコメディ作風でなんとか納得してしまう。

 ネット上では、「要素を詰め込みすぎ」という意見があります。確かに詰め込んでます。そしてそれぞれに答えを出していません。

 ゲイの家庭の問題なんて、ハッキリ宙ぶらりんです。ですが、”宙ぶらりん”こそが現実であり、それでいいと思います。それこそが、この話が実話である所以でしょう。

 そして『連帯』というテーマはハッキリと打ち出しています。原題は『Pride』(プライド)ですからね。ゲイの誇り、炭鉱労働者の誇り、それらもハッキリ出てました。

 主人公のゲイ男性・マークのモデルの人物をwikiで調べました。ほぼ映画の人物設定と同じでした。ただ共産党員であることは映画では描いてませんね。まあ映画ではコメディ作風なんだから、思想的なことはニュートラルにした方が得策でしょう。

 ちなみに主人公はどう考えても20代前半のゲイのマーク(ベン・シュネッツァー)だと思うのですが(だって言いだしっぺは彼だし)、資料の多くは炭鉱労働者サイドを前に持ってきてますね。まあ宣伝の都合でしょう。

 ラスト近く、主人公マークが二十歳のゲイに言うセリフと、マークのその後の展開(実話)は、胸を締め付けられる思いがしました。

 写真は、『パレードへようこそ』より。主人公マーク(アメリカ出身俳優・ベン・シュネッツァー)

追記・「スペクター」正式に出す事にしました(すいません。個人的趣味です)。

kage

2015/12/28 (Mon)

●『007 スペクター』のオープニングタイトルですが、本編では使われていないモノ。正式なモノでボツになったのか、マニアメイド(他者が勝手に作ったもの)かは、今のところ確認できていません。歌も本編のサム・スミスではなく、ボツになった歌とのこと。

すいません。全く個人的な趣味です。ダウンロードの仕方が分からないので、こちらのブログに共有しました。個人的な趣味でブログの下書き状態でもよろしいですが、公開しても問題ないと思いますので、公開で出します。



●追記・上記が消えたので、別のところから再掲載。
曲は「ラジオヘッド」のボツになったモノ。映像は正規のモノのようです。
これもいつ消えるか定かではありません。



●ついでにと言っちゃなんですが、”正規”のサム・スミス「スペクター」主題曲。映像はプロモーション用です。映画内ではありません。こちらは消えることはないでしょう。プロモーションですから。

横道世之介

kage

2014/06/08 (Sun)

yokomichiyonosuke2.jpg ちょっと筆者(fanta)の体調が悪い(うつが入って来た)ので、書くのがちょっときついのですが、昨日録画してあった映画『横道世之介』を見て、”これは見たことを記録しておくべき”と思い、当ダイアリーに書くことにします。

 申し訳ないですが上記の理由により、映画「横道世之介」の概要は下記のように他のサイトより持って来させていただきました。

*****

一見ファンタジックにみえるけど、じつは大変リアリスティックな人間関係模様をみせるこの作品
「横道世之介」と今はもう付き合いの無い人たちの話 - みからなとろグつ
http://d.hatena.ne.jp/throwball/20130320/1363799070

それにしても、どこにも破たんはないのに傑作のレベルにまでは届かない。まったくもって難しいジャンルである。
超映画批評「横道世之介」55点
http://movie.maeda-y.com/movie/01737.htm

*****

 筆者(fanta)のこの作品の点数は、100点中80点といったところ。大変良かった部類に入ります。入りますが、この80点の中には思い入れのプラスの部分と、この作品の作風の根本的なマイナス部分がプラスマイナスされています。

・マイナス面
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 まずマイナス部分から行きましょうか。
 今日、非常にうつっぽいのは、昨日の深夜(正確には今日の未明)、この作品が2時間40分もあることに気がつかず見始めて、長いが引き込まれてしまったことで、疲れちゃったんだわ。

 その疲れは、今作の内容に関わるノスタルジックな感覚にfantaが引きずられちゃったという感じがします。
 滅多にこういう感覚を映画に感じることはありませんが、橋口監督の『ハッシュ! Hush!』 (2001年)でも身につまされてドッと疲れた記憶がある。

 まあとにかく、こういう淡々としたエピソードを重ねていく作風で2時間40分は長いよ。
 2000年ごろ洋画で、『マグノリア』とか、3時間近い文芸作風の作品が流行った時期があったけど、どんなに良い映画でも長いと思いましたよ。メリハリの効いた3時間以上大作、『ベン・ハー』、『アラビアのロレンス』、『風と共に去りぬ』なんて、みんな途中休憩入るし、その休憩を前提とした話の作り方をしてますよ。

 そういう上映時間(まあfantaは録画で見た訳ですが)に対する配慮が、『横道世之介』には全くありません。それが最大の欠点ですね。

 またシーン自体も長い。このダイアリーを書くために要所のシーンを見直しました。あるセリフで見落としていた重要なポイントに気が付きました。
 シーン自体が長いのでfantaの集中力が続かず、見落としてしまったのだと思いますが、この作品、本来は”何度も見たい”と思わせてしかるべき作品、見るたびに新たな発見があって良いような作品です。それが”作品の長さ”によって”もう一度見よう”とする気持ちを阻んでしまいますね。それも大きなマイナス点。

 さらにマイナス面は、この作品の内容ではなく”イメージ”です。
 この作品の評判の良さは知っていましたよ。じゃあ、なんで昨日まで、だいぶ前に録画をしていたのに関わらず、ほっぽらかしておいたのか? 理由は簡単、”見る気がしなかったから”。

 掴みどころが無いんですよ、見る前は・・。  一体何の映画なのか? ひまわりだか太陽だかの衣装のポスターで何の予備知識も無しに”見たい”と思う人の気が知れんわ。  ”ウリが無い”と言うか・・。そこら辺、映画のマーケティング、パブリシティの問題だとは思いますが、興行成績も芳しく無かったと聞いています。

 と言ってもポピュリズム(大衆迎合)に偏った映画もいかがなもんです。『横道世之介』の場合、この内容はこの作風で良かったです。問題は長さですね。

横道世之介
 

・メンズウォッチング的な観点から

 主役2人の風呂のシーンがあるので、fanta管理の別サイト『メンズウォッチング 男の裸が見られる映画』で取り上げてもいいんですが、まあこっち(当ブログ『ファンタサイケダイアリー』)で全部言ってしまいましょう。

 高良健吾と池松壮亮が寮の風呂(?)で身体を洗いながら会話、その後、湯船につかる。
 全裸には違いないが、立つときとかで、上手く腕で股間が見えないような演出(段取り)をしている。鏡にも裸が映ってるが、全身像は見られない。他にもプールとかのシーンで上半身裸のカットは多い。裸度数は★★2つまでは行かない★1つというところ。

・この作品への3つの思い入れ

 実はfantaには大きな思い入れがこの作品にはあって、それは何かと言うとfantaの母校が話の舞台になっているということ。
 ”どんなもんか?”と思って見たら、けっこう話の半分ぐらいは描写されていた。fantaの時代と多少ずれてはいるが、全く違和感はない。昔の母校を再現している(というか当時っぽく見えるところで撮った)訳ですが、懐かしいと思ってしまいましたよね。

 もうひとつに、この作品に描かれている80年代中期後期に、fantaは、新宿を始めとする東京で活動していた。これもノスタルジックな気分を登り上がらせた所以です。

 3つ目に挙げられるのは、本作を見て初めて知りましたが、ゲイが非常に自然な感じで描かれていること。  過去に邦画でこんなに自然なゲイ表現は見たことないですね。  これは今作のプラス面と言うよりも、fantaも実際、この当時、こういうハッテン公園へ行っていた訳ですから、”思い入れ”と言ったほうがいいでしょうね。

 この他、この映画のプラス面はネット上で大変評判が良いので、そちら観覧されてください。
 ちなみにyahoo!映画評でこの映画の点数は相当高いですが、fantaはyahoo!映画評の場合、低い映評の方を参考にしています。
 yahoo!映画評の高い映評には、相当高い確率で”ステマ(ステルスマーケティング)いわゆる業者のやらせ”入ってますよ。
 低い映評で誉めるところを誉めている映評が一番信用置けます。

 写真は『横道世之介』の風呂のシーンとポスター。